9本作ってから気づいた。
ゲームを作るだけでは、サイトにならなかった
制作ノート / 個人でブラウザゲームを9作つくって分かったこと
- 9本作ってから気づいたこと
- ゲームが遊べれば、それで十分だと思っていた
- Googleの審査で「有用性の低いコンテンツ」と言われた
- そこで、失敗した話を書くことにした
- 完成したゲームより、作っている途中のほうが書けることが多い
- 「ゲームを作る」と「ゲームを届ける」は別だった
- これからも、失敗したところを書く
9本作ってから気づいたこと
最初は、ゲームを作ることそのものが目的でした。 家族と気軽に遊べるものがほしくて、作り始めたのがきっかけです。
作るにあたって決めたことが1つだけありました。 アプリを入れてもらう形にはしないということです。 「このアプリを入れて」とお願いするのは、相手にとってそれなりの手間になります。 URLを送るだけで遊べる形にすれば、その手間がなくなる。 そう考えて、ブラウザで動くゲームにしました。
1本作ると、次に作りたいものが出てきます。それを繰り返しているうちに、公開しているゲームは9作になりました。
ここまでは「ゲームを作る」という目的に沿って進められました。 ところが、それらを1つのサイトとしてまとめたときに、別の問題が出てきました。
ゲームが遊べれば、それで十分だと思っていた
当時のサイトにあったものは、大きく2種類だけでした。
- ゲーム本体(開けばすぐ遊べる9本)
- それぞれのルール説明(操作方法とコツをまとめたページ)
遊ぶことはできます。目的は果たしている、と思っていました。
ただ、あとから自分のサイトを初めて来た人の目で見直したとき、分からないことが多いと気づきました。 誰が作ったのか。なぜ作ったのか。どんなことを考えて作ったのか。 そういったことが、どこにも書いていませんでした。
遊んで面白ければそれでいい、と考えていたのですが、 そもそも「遊んでみようかな」と思ってもらう手前の部分が、まるごと抜けていたことになります。
Googleの審査で「有用性の低いコンテンツ」と言われた
サイトに広告を載せようと考えて、Google AdSenseに申請しました。結果は不合格でした。 管理画面に表示されていたのは、次の一言です。
有用性の低いコンテンツ
具体的にどのページのどこが足りないのか、という説明はありません。 判定の理由が細かく示されるわけではないので、これだけで原因を特定することはできません。
そのうえで、自分なりに考えたことがあります。 ゲームとルール説明しかない状態だったことは、一因になっていたのかもしれないということです。 サイトにあるページの大半が、同じような構成の「このゲームの遊び方」でした。 1本ずつ見れば意味のあるページですが、サイト全体として見ると、 形の似たページが並んでいるだけとも言えます。
審査結果そのものは事実として受け取り、原因の部分は推測として扱っています。 ただ、推測でも手を打てることはありました。
そこで、失敗した話を書くことにした
足りないのは読み物だろう、と考えました。 ただし、ゲーム制作の一般的な解説を書く気にはなりませんでした。 そういう記事はすでにたくさんあり、私が書く理由がありません。
代わりに選んだのが、自分が実際に困ったことを書くという方針です。 これなら、少なくとも私にしか書けません。作った本人しか知らないからです。
たとえば、こういうことがありました。
- CPUを強くするより「ちょうどよく弱くする」ほうが難しかった。 わざと外させると、弱いのではなく壊れているように見えてしまう (CPUを「ちょうどよく弱く」する方法)
- スマホで指についてこないと指摘され、処理を軽くしようとした。 しかし測ってみると、原因は処理の重さではなかった (「指についてこない」の正体は、重さではなかった)
- それぞれ正しい2つのルールを組み合わせたら、 相手が絶対に勝てない抜け道ができてしまった (相手が絶対に勝てないバグを見つけた話)
- 速く落下したときだけ足場をすり抜ける。 当たり判定の式は正しく、問題は別のところにあった (床をすり抜けるバグは、なぜ速く落ちたときだけ起きるのか)
どれも、調べて集めた知識ではありません。自分のゲームで実際に起きたことです。
完成したゲームより、作っている途中のほうが書けることが多い
書き始めてから気づいたことがあります。 完成したゲームについては、意外なほど書くことがないということです。
できあがったものを説明しようとすると、「こういうルールです」「こう操作します」で終わってしまいます。 それはルール説明のページに書けば足りる内容で、それ以上に膨らみません。
一方、作っている途中には記録が残っています。
- なぜこの形になったのか
- どこで間違えたのか
- どう直したのか
- 直したことで、別の問題が起きなかったか
この4つには、実際に手を動かした人間しか知らないことが含まれます。 うまくいった話より、うまくいかなかった話のほうが書ける量が多いというのは、意外な発見でした。
私は本業で建築士をしています。図面の仕事でも、完成した図面だけを見せるより、 途中で何を検討してその形になったかを説明したほうが、相手に伝わることがあります。 ゲームでも似たところがあるのかもしれない、と考えています。
「ゲームを作る」と「ゲームを届ける」は別だった
9本作ってみて、私の場合はこう感じています。 ゲームが動くようになった時点では、まだ半分も終わっていませんでした。
実際、ゲーム本体ができたあとにも、次のような作業がありました。
- 遊び方と操作方法を、読まなくても分かる程度まで短く書く
- スマホで指がちゃんと反応するようにする
- 公開して、URLだけで開けるようにする
- 9本をサイトとして並べ、選べるようにする
- なぜ作ったのかを書く
- 開発中に何が起きたかを残す
最初の1本を作っていたころは、この後半にあるものが必要だとは思っていませんでした。 ゲームさえ面白ければ、あとは付け足しだと考えていたからです。 今は、この後半の部分まで含めてようやく遊ぶ人に届くのだろうと考えています。
これからも、失敗したところを書く
新しいゲームを作ったら、完成したものだけでなく、途中で詰まったところも残していくつもりです。
制作ノートは宣伝のために書いているわけではありません。 「このゲームを作ったとき、実際にこういうことが起きた」という記録として続けます。 同じところでつまずいている人がいれば、遠回りが少し減るかもしれません。
9本作ったからこそ、最初の1本を作っていたときには気づかなかったことが増えました。
ゲームで遊ぶ
この記事に出てきたゲームは、すべて無料・登録不要で遊べます。 カイテイソナー(CPU対戦あり)、 ぷちけんちく(60秒)、 ヤネラン(1〜3分)、 ズメン(論理パズル)ほか全9作です。
ほかの制作ノート
CPUを「ちょうどよく弱く」する方法/ 「指についてこない」の正体は重さではなかった/ 相手が絶対に勝てないバグを見つけた話/ 床をすり抜けるバグは、なぜ速く落ちたときだけ起きるのか/ 制作ノートの一覧